| 設立背景

今こそ工業製品版の地産地消を実現する国内製造品推進を!

全ての部品製造を外国で行っても、組立のひと手間を日本で行うだけで「日本製」って言えてしまう場合もあるの!?

(1)工業製品の原産国表示ルールの現状

景品表示法「実質的変更した国=日本製」という曖昧さ

一般消費者にとって、「日本製」と表示された商品にどんなイメージを持つでしょう?国内の工場で部品を作り、国内で組立している。そんなイメージではないでしょうか?

しかし原産国表示について定めている「不当景品類及び不当表示防止法」「公正取引委員会告示」「関税法」「不正競争防止法」の中の、昭和37年(1962年)に景品表示法に定められたのは下記ような基準です。

『「原産国」とは、その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為(実質的変更行為)が行われた国』(不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第四条第三号の規定)。

つまり、製品として機能するための重要な作業を行った場所が実質的変更国で、例えば緑茶は茶葉の産地に関わらず「荒茶の製造(茶葉を蒸す、揉む、乾燥)」が実質的変更国となります。洋服の場合は実質的変更国は「縫製を行った国」と定義されています。
なお原産国表示は義務ではなく、表示しなくても良いことになっています。

腕時計の原産地表示は「組立」が主眼で、部品製造は不問

腕時計については下記のような規定があり、要約すると、
『「ムーブメント(機械部分)を組立した場所(①)」で原産地を決めます。ただし、機械部分を入れるケースやバンドが重要な時計であれば「ケースやバンド部品の製造(②)」を行った国も原産地になり、①と②が別々の国であれば原産国は二か国表示してくださいね』
と言うものです。

「ムーブメントの組立。ただし、側又はバンドが重要な構成要素となつている高級腕時計及び防水などの特殊な腕時計にあつては、ムーブメントの組立及び側又はバンドの製造。
(注) ただし書の腕時計において、ムーブメントの組立が行われた国と側又はバンドの製造が行なわれた国とが異なるときは、原産国は、二国となる。」

部品は全て外国製造で、組立だけ日本の場合でも「日本製」

このため、もし日本の時計メーカーが部品製造を東アジアなどで行い、その部品を輸入し日本でムーブメント組立をした場合でも、景品表示法では立派な「日本製」となります。
さらにケースやバンドが外国製造でも、メーカーとして「ケースとバンドは重要でない」と判断すれば、二か国を表示しなくても法規違反とは言い切れません。

60年前に作られ放置されて生まれた原産国表示の抜け穴

制定当時は日本国内の製造コストが安く、現在とは逆の立場だったこと、また現在のグローバルサプライチェーンが想定されていなかったこともあり、60年放置され抜け穴が生まれています。

基準が曖昧なので積極的にPRできない「日本製」

基準が曖昧なので、例えば日本製品を集めてPRイベントを企画しても、何を基準に製品集めするかが問題となります。
さらに正直に全工程を国内生産する事業者にとっては怪しい日本製と同列視される懸念があり、第二次安倍政権下で推進されたクールジャパン戦略にも影響してくる問題です。

(2)スイス腕時計の原産国ルール

時計産業におけるSwiss made表記を強化するスイス法

スイスでは腕時計のSwiss made表記を強化するため「腕時計におけるSwissの名称の使用を規制する法令」(スイス法)を定めています。
スイス製時計と認められるには、
 ①ムーブメントがスイス製
 ②ケーシング(注:ムーブメントや文字盤を時計のケースに組み込む作業)をスイスで行う
 ③スイスで最終検査を行う
 ④製造コストの60%以上がスイス国内で支払われている
などの条件が設定されています。
この法令が優れているのは、時計産業を守ることに主眼を置いている点で、日本の曖昧ルールと大きく異なります。

スイス法=腕時計なので他の工業製品には適用しにくい

ただ、スイス法は時計に限った法令のため、他の工業製品に置き換えて運用することが難しく、特に要点となる「ムーブメント」が他の工業製品と比較しにくいことです。

(3)日本の貿易依存度と製造業の状況

貿易依存度が低い内需型の日本

世界各国の2020年GDP対貿易依存度では、手厚い社会保障で知られる北欧諸国でノルウェー124位(45%)、フィンランド110(48%)、デンマークが68位、スウェーデン75位(59%)、同じEUのドイツ59位(66%)と、貿易依存が高くなっています。

一方の日本は184位(24%)と、貿易に依存しない内需型経済であることが分かります。日本と関係の深い米国は200位(17%)、中国は174位(30%)、韓国は76位(58%)で、日本は米国に次ぐ内需型経済なのです。

製造業は国家の要

2020年の自動車輸出金額は12.8兆円とGDPの約1割で、自動車関連産業の就業人口は549万人です。また同年の国内労働人口は6666万人で、製造業は1054万人(15.8%)と、現役世代の6人に1人は製造業従事者です。製造拠点がある地域は、観光業が盛んな地域より所得が高いというデータもあります。
またITがどれだけ進もうが私達の生活に不可欠な日本の美しい道路やインフラ、交通機関もすべて製造業が無ければ新設も整備もできないので、製造業は国家の要と言えます。

多様な働き方を支える製造業

政府や経済産業省はIT分野の強化を掲げていますが、ITスキルがなくても経験・年齢・性別不問で従事できる製造現場は、雇用のセーフティネットでもあります。多様性を重んじる社会には、多様な職業があって然るべきです。

国内製造はハイテク分野だけでは成り立たない

「IT機器などのハイテク製品は国内製造がいいが、単純な製品は中国や東南アジアで作ってもらえばよい」という考えもありますが、1台3万点の部品を使う自動車でも分かる通り、ネジ1本でも無ければ完成しません。
ハイテク製品を作るにはそれを支える中小零細の町工場や製造事業者同士の“横持ち”作業が必要となります。

日本の製造業が強いのは中小零細の町工場が多いからで、地盤の弱い土地にビルが建てられないように強固な下請け工場が支えなければハイテク製品も作れません。
またハイテク製品工場でも、一部で単純な製品を作って工場稼働率を上げて売上を維持している場合、その需要が減れば、ハイテク製品への設備投資もできなくなってしまいます。

製造業により今一度強固な経済国家をつくる

人口1億2千万人を誇る我が国が、内需を満たすためだけに外国製品を輸入し続ければ、日本の子ども達が50年、100年先にモノづくりに関わる仕事をしようにも外国移住しなければいけないという状況に陥ってしまいます。
また貿易依存度が高まれば、有事の際に日用品や食品を入手できない状況に追い込まれます。

それを防ぐには、製造業を国内に回帰させて「工業製品の地産地消」を進めることが不可欠です。
円を外に逃がさず、国内雇用を創出し安い輸入品が減ればデフレ解消となり、日本は強固な経済国家を取り戻すことができます。

(4)日本製の再定義と国産製品推進の提唱

日本製を再定義する「真の日本製」新3基準の提唱

そこで当協会では、スイス法も参考にしながら工業製品全般に使える「真の日本製」新3基準を提唱します。
この基準は現在の景品表示法基準に準拠しつつ、2つの新基準を付加して原産国表示の曖昧なルールを明確にし、国内雇用創出や製造技術・サプライチェーン維持を目指します。

日本製の信頼を高める「国産比率付きJPP製品マーク」の策定

この新基準を消費者にアピールし購買行動に繋げなければ意味がありません。そのため上記の新3基準を満たす製品の証として、「国産比率付きJPP製品マーク」を策定しました。
このマークは日本製を示す「MADE IN 」、「+PROCESS」という文言、「製造・組立の国産比率」が組み合わされていて、工業製品のトレーサビリティ(追跡可能性)が明瞭になります。

お店に1つはアジア製、2つ目は単に日本製表示、そして3つ目がこのマーク付きの商品が並んでいた際、消費者に『値段は少し高いけど信頼できる』と感じていただくことができます。

政府が掲げるSDGsや脱炭素、エシカル消費にも貢献

さらに、この新3基準とJPP製品マークの推進で、①輸送燃料を削減させ「カーボンニュートラル(脱炭素社会)」に貢献し、②「SDGs(持続可能な開発目標)」の12番目「つくる責任 つかう責任」「持続可能な生産・消費形態の確保」に繋がり、③消費者庁が推奨する地域活性化や雇用を含む、人や社会・環境に配慮した「倫理的消費(エシカル消費)」に繋がる、という現在の潮流にも対応できます。
ぜひ私たちと一緒に国産製品を推進してゆきましょう!

これまでの“日本製”や“Made in JAPAN”を再定義し、スイス腕時計に関する「SWISS法」等を参考に、景品表示法にも準拠しつつ国内雇用創出や製造技術・サプライチェーン維持を主眼とした「真の日本製」マークを提唱します!

JPPが提唱する「真の日本製」新3基準

従来 基準1
国の定める「実質的変更をもたらす行為を行った国※1」が日本国である事(従来同様)
独自基準 基準2
原材料※2を用いて、製品構成部品※3の製造加工※4の70%以上※5を日本国内で行っている事
基準3
主要な製品構成部品の組立工程※6の70%以上※7が日本国内で行われている事

現在の法律ではこの基準2、基準3が明確にされていませんでした!

上記の3基準を満たす製品に
「国産比率付きJPP製品マーク」を表示

一般社団法人国産製品推進協会

JPPパンフレットデータvol.1